57

落下の解剖学の57のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8
アカデミー賞作品賞にノミネートという事で鑑賞/なんでこのフランス映画がアメリカの賞レースに食い込んだのか謎だが最近のアカデミーってカンヌ作品持ってきがち?/日本語が母国語の私には判別しづらいけどトランスレーションが作品の鍵になっている気がした/ドイツ語なまりの英語とフランス語を操る主人公/小説家の本業じゃなくて翻訳の副業ナップ中に夫死んでるし/裁判内外でも起きた事実を言葉でしか伝え振替えざるをえないのもある種の翻訳/トランスレーションによる何かささいなズレのようなものが全体を支配する巧みさ/回想シーンを使わずにあくまで現行の会話だけで過去の事実を想像するしかない巧みさ/「事実は何か」を謎解くのではなく「事実とは何か」を問いかける形而上構造/客観的事実/主観的事実/報道/夫婦/どれもシンプルにいかない複雑で裏腹な部分を見事に抽出してみせた2時間半/夫婦の男女を置き換えて女が死んだとすれば時代錯誤もいいとこクダらないファムファタ映画にでもなったろなって考えるとこの映画やっぱスゴいかも/純粋に映画然とした映画を久しぶりに見た良作「エンパイア・オブ・ライト」ぶりかなこの劇場鑑賞の高揚感

落下という事実を
あの日木からリンゴが落ちて以来
本当に理解した人間はいなんじゃないだろうか
少なくても生きているかぎり
落下という事実は
わかりえない真実
57

57