「法廷によって明かされていくある家族のドラマ」
今年のパルムドール、そしてオスカーの脚本賞最有力と目される注目作。予告かポスターの雰囲気からガッツリサスペンスかと思っていたら意外にも深い人間ドラマという感じでこれはこれはいいものを観たという感覚。
怪死した夫が事故か自殺か他殺かを裁判によって明らかにしていく構造で観ている我々はまるで陪審員になったような感覚で事件の真相を判断していく。
事故によって視覚障害を持ち、自宅学習をする息子、夫の故郷であるフランスへの移住や作家として活躍する妻、作家も目指すも成功せず教師をしている夫と家族のさまざまな要因が繋がっていく。
中盤繰り広げられる夫婦の会話はどこにでもありそうな夫婦のリアルの会話で、それをどう捉えるかはまさに我々次第。
映画としての結末はあるもののそれが真相かどうかは分からず、のちらに委ねられてるという意味でも何度か観ることで解釈が分かれそうな深さも感じる。
賞レースシーズンにおいて注目の1作です。