大音量のP.I.M.Pが不穏な幕開けを暗示する。カメラが寄せぎみだったり視覚聴覚を混乱させる。人が見たり聞いたりすることはどれだけ曖昧な主観に基づいていることか。
法廷劇でありながら夫婦の話でもあり。フィフティフィフティの関係をバランス取りながら維持して行くことがいかに難しいか。特に同業同士は。
息子君とお犬の澄んだ目が物語の鍵。このお犬様はパルム・ドック賞を獲ったのね。
「ありがとう、トニ・エルドマン」で肝の座った役者だと思ったザンドラ・ヒュラー、もうすっかり大御所の貫禄。不機嫌な表情が魅力だが笑うと歯がかわいい。
同じく歯がかわいい弁護士役のスワン・アルロー。なにこの人!かつてのマッツ・ミケルセンに通じる色気。こんな酔い方をされた日にゃ奥さんねぇ。ザンドラよく踏みとどまった。
賞レースの中では地味な作品かもしれないが満足しました。