sammy

落下の解剖学のsammyのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

024/2024

「落下の解剖学」というタイトルから自分が想起した内容とはだいぶ違ってて言ってみればよくある法廷サスペンスミステリーといった感じ。

しかし特筆すべきはその見応えのある脚本。
緊張感のある裁判のやりとりは息つく暇も無いほどで観ていて胸が痛く思わず劇場(廷吏)から逃げ出したい衝動に駆られました。

物語の始まるタイミングが絶妙。
サミュエルがどういう人物で夫婦のやりとりがどうだったのかを明かさないまま話が進むので
中立な気持ちで裁判の行方を追わされる。

サミュエルの妻に対する妬みが焦点になっている点も夫婦の確執あるあるを描いていい感じでしたね。

サンドラ(ザンドラ◦ヒュラー)の徐々に余裕を失っていくどちらとも取れるような迫真の演技は凄まじかった。
売れっ子作家の傲慢と家族の欺瞞(?)もうまく演じてたなー。

何度もヴァンサンといい感じになりかけるんだけどそうもいかないよなとやめるサンドラ。
つーか旦那が亡くなった現場で酒盛りやるかね?

息子の視点が常にあるというのは法廷の緊張感を高めて良いと思ったけど最後のダニエルの服はちょっとあざとく感じちゃいました。


個人的にはサンドラが告発される最悪のエンディングの方を期待しちゃったかなー。
最近ヨルゴスさんとかアリさんとか観てるせいで普通の物語じゃ物足りなくなってる。
やべーやべーw

どうでもいいけどキービジュアルの雪の俯瞰に赤文字タイトルって是枝監督の「三度目の殺人」みたいだなー。


追記:
あり?他の方のレビューをいくつか拝見しましたがあんまり触れられてないな。
んなこと言うまでもねーわと言われそうですが僕の解釈を一応書きます。

ラストのダニエルの服が弁護士の黒ではなく検事と同じ赤だったのであれは偽証(反被告)を示していてダニエルは真実を知りながら母親を庇っているのだと思いました。
テレビでサンドラの勝訴を見た時の微妙な表情もそれを表しているんじゃないかなー。

おまけにその後の中華料理店の2人が座ってる床も真っ赤なんですよねー…。


追記2:
法廷というのは判決と量刑を決める場であって決して真実を究明する場ではないっていう裁判の映画昔観たなーと思ってたら
奇しくも先に挙げた「三度目の殺人」じゃん!って妙に合点がいってしまった。
でもまー裁判ものって大概そうか?
sammy

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