けろにょん

落下の解剖学のけろにょんのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.0
転落死した男、その妻に殺害の疑惑が向けられる。遺体に最初に気づいたのは視覚障害の11歳の息子。

すべては状況証拠、登場人物の数だけ証言も変わる。法廷で次第に明らかにされる「嘘」と「隠していたこと」。
観客は法廷に陪審員として存在するかのように成り行きを見守る。

小説家として成功した妻と、息子の世話と勉強を見ながら、自身はなかなか書くことができない同じく小説家志望の夫。男女入れ替えると、日本でも良く言い沙汰されている夫と妻の不満。

観客はどの登場人物に共感するか、そしてどのように疑惑を消化するのか。なんとなくスッキリしない結末、は仮想陪審員の私たちが試されているように思える。

それにしても観る前は「?」だったこのタイトルは秀逸。原題もそのまま。
まさしく「落下の解剖学」である。
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