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落下の解剖学のtsnのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

それは一部であって全部ではないという法廷での言葉は全ての人間関係を総括する言葉だった
不公平だという夫も縛っていないという妻もどちらの言い分も見る角度によっては真実だし、人間は深いところでは分かり合えないという当たり前のことを見せられると共に分かり合えないなりに築いていくのが人間関係というものだというスタート地点に戻される感じ

ホッとすると思ってたのに何も得られなかった、ただ終わっただけというのも、最初から変わらない事実が公的に終着しただけであって、事故か自殺かはわからないということは焼印みたいに今後の人生に永遠に残り続ける
(個人的な総合判断で他殺ではないように思えた、妻はどちらかというと夫から責められる側であって、不倫という形であっても逃避先を持っていたからあえて殺す理由はないのでは?)

ダニエルが帰ってきた母親の匂いをしつこく嗅いでいたのは、母が裏切らなかったかを確かめているように見えた

最後にスヌープが書斎のベッドに寄り添って終わるエンディングは、ダニエルの実験のきっかけとなったエピソードをやんわり真実だと伝えるシーンに見えた

なんだか自分と夫の分かり合えない部分との付き合い方について考えてしまった
この作品はサスペンスではない
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