このレビューはネタバレを含みます
ある日、自宅から転落死した父親。
疑われる妻。証言台に立ったのは11歳の弱視の息子。
最後までどちらにも傾ききらないシーソーのような作品。
結構重要な判断材料がかなり遅めの公判で分かってくるので、フラグも感じなければオチの予想もしにくかった。
見終わって気づくのは
夫の登場シーンが割合少なく、もっと子供との関係がわかるようなシーンが入っていたら、視聴者が感じる結末は違って見えたかもしれない。というほど、しっぽの出し具合や構成が巧みに計算されていると感じた。
なんと脚本はリアル夫婦だそうで、
生々しい夫婦の喧嘩のやりとりが映画とは思えなかった。
もちろんマリッジストーリーを彷彿とさせる演技も素晴らしい。
二人とも物書きなのだが、事実として妻の方が売れている。僻む夫。
妻:忙しくても自分の時間はつくるものだ。
夫:忙しくて自分の時間が全然ない。
これだけ聞くとお父ちゃんもっと頑張れやと思うのだけど、
息子の眼に障害を負わせた負い目、
出来ない自分へのフラストレーション、
父親なのに弱音を吐く情けなさ。
そんな複雑な感情から
「スヌープはまだ若いけど、君の目の代わりに常に気を配ってるんだから、早死にしてしまうかもしれない。覚悟はしておきなさい。」
みたいな切羽詰まったセリフを吐いてしまったと思うと切ない。
<余談>
・息子の赤いセーターと髪型。雪山。がシャイニングぽかった。「小説はすべて作者の体験が元になっているとしたら、スティーブンキングは連続殺人鬼やないか!」というセリフもあったし。
・冒頭曲のPIMPはてっきり原曲を流しているのかと思ったけど、50centverとして流しているし、ちゃんと劇中の意味も妻へあって驚いた。犬の名前スヌープだし好きなんか。(PIMP はftでSnoopDoggが参加している。)