アクセルガツキー

落下の解剖学のアクセルガツキーのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

題名や宣伝で「パズラー」のような内容を当てこんでいたのですが、想像以上にモラリスティックな話でした。
何故なら、これは一人の少年の成長譚だから。

パズラー(謎解き)でも、法廷劇(法廷での応酬で常識のヴェールが剥がされるもの)でもない。理不尽な不幸に見舞われた少年が真の意味で恢復し、そして成長の一歩を踏み出す物語。

忘れてはいけない。一番傷ついたのは父でもなければ母でもない。視力を損なった少年自身の筈だ(なのに、父も母もそのことを忘れている訳だ)。その彼が、(確かに献身的ではあった)父の存在から独立し、(確かに経済的な支柱ではあった)母から離れ、一人の自律した「個」としての行動に出る…(完全にネタバレですが、それが「家族」を救う…)

そういう物語としてみました。

悪くないですけどね。
コテコテのパズラーか、ゴリゴリの法廷劇を(勝手に)期待していたので、ちょっと肩透かしでした。

A24ってこういうの、多い気がします。
まあ、今どきパズラーや法廷劇を作ってもコケるだけか…(ちゃんと「人間ドラマ」じゃないとね)。
というか「多くの人にウケる(受けいられる)にはこういう要素が必要」というレシピが世界中に広まった以上、こういう味付け(オチや読後感)のものが沢山作られるのは、仕方ないんでしょうね…。
その意味では「21世紀の法廷物のカタチ」ではあるかもしれないです。