ゲイリー冨久津

落下の解剖学のゲイリー冨久津のネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

カンヌ映画祭パルムドール受賞作。
ジュスティーヌ・トリエ監督の長編4作目
本国フランスでも大ヒット。
米国アカデミー賞でも複数ノミネートされている。

面白く鑑賞しました。
だけど、死の要因は明らかにならずでモヤモヤもある。
ヒントを見落としているのか?
そのまま観たら、ただの裁判映画やし。
謎解きしたいけど、答えが出ない。

息子のダニエルは4歳の時の事故が原因で視覚に障害がありますが、音に関しては難しそうなクラッシックの曲を耳コピするほど聴き取る力に優れた才能を持っている。
彼が自身満々に警察に証言した内容は正しかったのか、本当に勘違いだったのか?
週明けの最後の証言は本当なのか?
父親を亡くし、母親が逮捕された際の自分に不安を感じ、今後を考えての虚偽?
という事はこの映画は無垢な子供から、自衛を覚えた大人になる成長譚?

母親のサンドラは作家として成功しており聡明な感じ、自己実現をして自由な自分を大切にしている様に見えた。
裁判終了の後もすぐに息子の元に帰らず、しっかりめの飲み会を楽しんでらっしゃるし、割と薄情か?
昔馴染みの弁護士が自分に好意を持っているのを知っていて頼ったの?
そして、家に帰ってベッドに臥せた際にはワンコが自ら添い寝しにきた…。
という事はワンコの1番のご主人はサンドラ?
ワンコに何か怪しい行動あったかな?
(唯一このワンコがカワイイ事だけは疑いようがない。)

旦那のサミュエルは映画冒頭で落下死で生前の様子は録音された音声のみで、後は第三者の証言のみ、冒頭の大音量でさえ本人自らが出していたのか?
大音量の時にはすでに死んでいた?
(それはさすがに考えすぎか…)
喧嘩の様子を敢えて旦那自身で録音していたその意味は?
作品制作の資料として本当に必要だった?
妻にとって悪い状況を作るための自演?
という事は自死?

妻は現実の事を脚色して小説を書いているっぽい。
この事件も書きそう。
と考えるとやっぱり妻が怪しい?

ですが、推定無罪。
なので、分かりません。

題名である『落下の解剖学』の通りに解釈すれば、

①落下死の真相を追い求めるという物語
②幸せであった夫婦の崩壊の様を詳細に表した物語
③人気作家のスキャンダルによる凋落の物語
④子供から大人へ=天使から悪魔への物語
…?

④は我ながら無茶苦茶な発想ですね…。

考えすぎて私のコンピューターも「落ちて」しまったようです…

お後がよろしいようで…
ゲイリー冨久津

ゲイリー冨久津