ゆうゆ

落下の解剖学のゆうゆのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.3

死んだ夫と疑われる妻の法廷劇、だけど流血による雪解けで見えてきたのは破綻しかけた夫婦の屍だった

雪に埋もれる現場、夫婦の軋轢に向けられる混濁した4つの眼差し、母国語で語れない心許なさと確信に触れない修羅場の行方、
劇中に散りばめられた断片的な外面(事実)と各々が纏う印象から曖昧に浮かび移ろう真実が息子の奏でる拙いピアノのメロディとリンクし私たち傍観者を巧みに翻弄し続ける。
かつて愛を交わした男女の表層を切り裂くメスの痛み、開かれて顕になるグロテスクな夫婦のリアルと切り刻んだ後に残る拭えない後味の悪さよ、、
だけど本来 '解剖学' から得られるべきはその先の未来への展望のはず。
判決へと導かれる記憶の物語には '夫(父)の死 'という事実をもとに 前を見つめようとする少年の成長と願望、運命を背負う切ない覚悟が感じられました。




《わたしの見解》
・少年の独白にそのまま乗っかりたい気持ち、
冒頭ですべてを知ってるような表情を見せていたワンコが最後に主人公に寄り添う姿に無実説と犯人に寄り添う説と。

・雪山に籠るスランプの作家(おとん)、息子(ダニエル)から想像されるある有名映画。もしもあの有名映画のストーリーをなぞるなら 狂気に凍てつく主人公は愛する妻と息子をどん底まで追い詰め やがて自滅の道を辿っている。そこからの考察では 何も書けなかったオットの最期の当てつけ=自死の可能性が理にかなってる気がして結構満足。そういえば息子のビジュアルもどこか似てるよね!

デップ&アンバーを思い出すような白熱のバトルシーンはうちも遠からず…😌
無駄に色気だだ漏れな弁護士さんに気が散ってもう反則の域
ゆうゆ

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