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落下の解剖学のマのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.4
映像と録音から真実を見つけ出すことが出来る という勘違いの中でしか生きられない現実。

ラース・フォン・トリアー作品とかは特によくあるけど、作品の登場人物の言動やストーリーを その作者の現実として 本人が言っているならまだしも なんも言ってもないのに勝手にフィクションから個人を規定していくことのグロテスクさ。そのグロさしか 現実における真実には存在しない。息子は最後の証言で「複数個ある"真実"から丁度いいものを選ぶ」という選択に向かう。結局「真実なんてどうでも良いじゃん、そっちの方が面白いもん」 それ以上でも以下でもない。

"ソルフェリーノの戦い"では大統領選挙を(本当に)取材するカメラから現実とフィクションの垣根を消したジュスティーヌ・トリエだけど、今作の主人公も同じような小説を書き、事件の取材カメラから向こう側を見つめる もうその構造ですら罠としか思えない。
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