ろくちゃん

落下の解剖学のろくちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

公開から3週目のフランス映画が平日に満席なのは驚き!
最近、中規模の作品はとてもお客さんが入っている印象。

予告編でも夫の死をめぐる話だという事はわかっているが、様々な情報の断片から裁判ではどのようなジャッジがされるかを問う作品。

本作が面白いのは、夫の死をはじめとしたいわゆる「見どころ」を作品の見せ場としないところだ。

観客の前にはありとあらゆる「事実」が提示されるが、決定的なものは何ひとつない。その中で裁かれる人と裁く人。それぞれが、どのように感じて、どんな行動をとるのか。
それを見つめる、まるで観察ドキュメンタリーのようだ。

いわゆる決定打はないのだが、妻はやろうと思えばできた完全犯罪をなぜやらなかったのだろう。。
また、判決を聞いた子供の表情が1番心に残っている。

ほぼ室内での会話劇なのに、飽きさせずに2時間以上みせることができるのは上質なシナリオがなせる技。

しかし、いわゆる映画的なカタルシスはなく、じんわりと考えさせる作品だった。