このレビューはネタバレを含みます
「哀れなるものたち」に続き、評判かなり高いっぽいアカデミー賞関連作品。一見地味なルックスだけど多分間違いないだろ、と鑑賞。
…やられた…ブッ刺さりました…
冒頭、画面上姿を見せずに描かれた夫の行為。「話し声が聞こえたんだ」という息子の証言の確認。そして妻とインタビュアーの他愛ないフレンドリーなやりとり…の、印象の反転。
あらゆる角度から取り巻く“不穏”の中、事実が一つひとつ確認されていく(敢えてこう言わせて!)ワクワク感、そして印象・想像との相克。
前半はとにかく「真っ当に優れた法廷ミステリー」として『うわぁ…こりゃ好評価も頷けるわ…』と、ひたすら感心させられました…。
そして後半、「他者が知り得る限界」を引きつつも、徐々に浮かび上がってくる夫の人物像…(理想を成し遂げられないまま、手放せないプライドに苛まれた男)。
…この時点で他人と思えない苦さも相当でしたが、そこからクライマックスの息子の証言・車中の言葉。「問題あるお父さん」モノに弱い自分は完全にとどめを刺されて落涙してしまいました…。
まだ3月だけど個人的年間ベスト10、アカデミー賞系ばっかりになったら、なんか恥ずいな…「オッペンハイマー」と「関心領域」が果たしてどの程度か…