ShuheiTakahashi

落下の解剖学のShuheiTakahashiのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8
勝手に大どんでん返しの緻密なサスペンス映画だと思っていたが、家族の話だった。
クレイマークレイマーやマリッジ・ストーリーに近い気もするが、なんか少し趣が異なる。
それはやっぱり事件なのか、事故なのか、自殺なのか。
最後まで謎で、それを解き明かす話ではなく、何を信じるのか。
証拠も証言も確かなものが何一つない中で、何を選ぶのか。
フィクションで事実を壊したいみたいなことをサンドラが取材で言っていたとニュースキャスター?が言っていた。

誰がつくったフィクションを事実とするのか。

これは今、現実社会を生きる私たちにも言える。
現代は情報に溢れ返っており、何が真実なのか、何が事実なのか解らなくなっている。
そんな中で、何を私たちは信じるのか、信じたいのか。
それぞれがそれぞれの信じたいことを、都合のいいことを信じているのではないのか。
でもそれでも私たちはその中で何かを選び生きなければいけない。

劇中のそれぞれの話の中で、誰の話を信じるのか、今いる環境や価値観で変わるのかなと感じた。
そして与えられた情報だけで判断するのではなく、そうなった経緯まで想像しなければいけない気もした。

最近はある程度は少なくなったのかもしれないが、ネットニュースの一文だけで誰かを判断したり、それで炎上したり。
誰かと誰かが不倫した。
関係のない人たちがあーだこーだ言う。

そういうのが嫌いなので、私はニュースや情報バラエティなどは観ない。

話は逸れたが、この裁判の中で話される事は断片的な事実と、それぞれの想像による話。


窮地に陥った時に、自分の話を信じてくれる人はいるだろうか。
そんなことを考える。
ShuheiTakahashi

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