マルケス

落下の解剖学のマルケスのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5
序盤は有りがちな法廷劇。ただ裁判が進むにつれ、死因や動機を解き明かす映画とは違った側面が見えてくる。

事故なのか自殺なのか、あるいは殺人なのか。
弁護士ヴァンサンの言葉通り、サンドラの「殺してない」主張より重要なのは「君が人の目にどう映るかだ」
観客は陪審員になったように裁判の行方を見守り、エンドロールが流れる頃には判断を下すことになる。

傷つき悩みながらも母を選んだダニエルは、思っていることを全部話せたんだろうか。胸の奥深くに閉じ込めた思いが人格を歪ませ、いつか噴き出したりしないだろうか。
ラストカットはスヌープと添い寝するサンドラ。やけに長いシーンだった。

結末を観客に委ねる脚本はおいしい(言い換えればズルイ)手法だとも思う。どうとでも解釈ができるし、確実に余韻が後を引く。洗練された体裁になり作品が格上げしたりもする。
まんまと演出家の思惑通りにずっと考えている。書き出したらすっごい長文になりそうだからやめるけど。
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