アカデミー脚本賞受賞!!!
ストーリー
雪深い人里離れた山荘で、視覚障がいのある11歳の少年が、転落死した父の死体を発見する。最初は事故死かと思われたが、捜査が進むにつれていくつもの謎が浮かび上がっていく。
主演 ザンドラ・ヒュラー
監督 ジュスティーヌ・トリエ
フランス国内で100万人を動員したパルムドール作。
脚本の力が全てを上回る。
天才的脚本なのは間違いない。
終始""解剖学とは?"を追い続け、そこにある法廷闘争劇を利用しながら"家族"を描き、ラストに向かって収束していく手法は間違いなく完璧。
我々はただ茫然と観ることしか出来ない。
「デューン」のドゥニ・ヴィルヌーヴ曰く「映画はセリフで覚えるのではない。映像で覚える」を思い出す。
今作は真っ向から刃向かう「セリフ映画」なのは間違いなく、終始しゃべりまくり人間の脆さや恐ろしさを描きつつ背景の美しい雪景色と"血"が滴る様子はファーゴを連想させる。
予想とは違うほどリアルな法廷劇に思わず舌を巻く。
主演のザンドラヒュラーは今作と「関心領域」にも出演しており、カンヌで賞を受賞できなかった事で「彼女のために賞を増設するべき!」を巻き起こした。
それくらい圧巻の演技。
彼女の演技の中でどこにもアドリブを入れる余地がなく、全て脚本通りだなのだろうがそう思わせない力があった。全てがリアルな演技のようであった。
今作のラストが特に好き。
タイトルは「落下の解剖学」
解剖に成功したのか?失敗したのか?それは我々の考え方や捉え方によっては視点が違うのかも知れない。
しかし、1つ言える事はこの映画はどこかの国の誰かの物語ではなく「我々の身近にある」恐怖の一つであるだろう。
真実かどうかだけが答えではない。
今作がオスカーを獲得した事は納得である。