レオン

落下の解剖学のレオンのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5
2024年アカデミー賞★授賞式レビュー&各賞全プレゼンター紹介。
アカデミー受賞式を"ただの式典"と思っている方は間違いです♪ この式典そのものがとんでもない、エンターテイメントなのです♪
(TV生放送の30秒CM広告料は2億5千万円以上!)

(「落下の解剖学」のレビューは下段の▲▲▲の場所に記載 ★3.5は今作評価で式典の★評価ではない)

長文なので見やすいよう、超ビッグネーム俳優は★付きに。

今年のアカデミー授賞式は2009年に一度だけあった、素晴らしいサプライズが再び!
各俳優賞の プレゼンターが5人も同時に登場する。
通常は前年の主演・助演賞獲得者が次の年のプレゼンターを務めるから、男優・女優各賞で4人だが、今年は4×5=20人のプレゼンターだったのだ!
すなわち、過去に主演か助演賞を獲得した20人ものスターが登場する!

以下のプレゼンターの他に、各賞ノミネート作品の俳優達(脇役も含む)やその同伴者(妻やクーパーは母親を同伴)らで、世界一豪華な客席に♪

助演女優賞= メアリー・スティーンバージェン、ルピタ・ニョンゴ、 ジェイミーリー・カーティス、リタ・モレノ、 レジーナ・キング

助演男優賞= サム・ロックウエル、ティム・ロビンス、キーフォイ・クァン、 クリストフ・ヴァルツ、マハーシュラ・アリ
(助演男優ではダウニーJrのクァン無視事件が・・)

主演女優賞= サリー・フィールド、ジェニファー・ローレンス、ミシェル・ヨー、★シャーリーズ・セロン、ジェシカ・ラング

主演男優賞= ★ニコラス・ケイジ、マシュー・マコノヒー、 ブレンダン・ブレイザー、 ベン・キングスレー、フォレスト・ウィテカー
(受賞したキリアンはダウニーjrと全く違い、5人それぞれと両手で丁寧に握手していて、人柄の違いを感じる)

以上の20人が今年のノミネート者20人に、それぞれの演技の賛辞を述べるのです!
特にキャリー・マリガンはジェシカ・ラングから「あなたが演じたからマエストロという作品が成り立ちました。 このカテゴリーに相応しい女優です」 などの最大級賛辞に、顔を崩して今にも泣き出しそうになるのを必死で耐えていた表情が印象的でした。

今回で一番の受賞スピーチは助演女優を獲得した、デバイン・ジョイ・ランドルフ!
「ずっと何か違うものになりたかった、 が、自分らしくいればいいと気付いた。
あるクラスでは黒人は自分だけだった。が自分を認めてくれた・・」などと、過剰に差別を訴えるのではなく、自然に自分の言葉で感謝を伝えて、共演した、ポール・ジオマッティは大きく流れる涙を拭こうともぜず、聞き入ってました。  私も当然目が・・。

さらには各賞のプレゼンターもスゴイ!
短編・長編アニメ賞=
★クリス・ヘムズワース、★アニャテイラー・ジョイ  の美男美女コンビ!

脚本賞・脚色賞=
メリッサ・マッカーシー、オクタヴィア・スペンサー のまるで女性漫才コンビ♪

メイクアップヘヤスタイル賞・美術デザイン賞=
マイケル・キートン、キャサリン・オハラ まるで夫婦の様な駆け引きの熟年コンビ

衣装デザイン賞=
ジョン・シナ ●今回一番の笑いを獲ったのは司会キンメルではなく、プレゼンターのシナだった! その姿に、客席のマーゴッドは手で口を隠し、のけぞりながら大笑いしていた♪

国際長編映画賞=
★ドウェイン・ジョンソン、バッド・バニー  ドウェインはいつも明るい目の派手カラーで、今回も光沢あるライトグレースーツ♪ はだけた胸にはタトゥーが見える♪

スタントマンを称える映像紹介=
★ライアン・ゴスリング、エミリー・ブラント  実力コンビがブラックジョークで何度も笑いを獲る♪

視覚効果賞・編集賞=
★アーノルド・シュワルツネッガー、ダニー・デビート  今回2番目のビッグサプライズプレゼンター! 「ツインズ」の共演コンビだが、我々の共通点はバットマンの宿敵だったと♪(ペンギン&Mrフリーズ)  その時のエピソードで笑いを盗るデビートはまるで師匠芸人の様で、間の取り方も司会キンメルより巧い! そして二人で「バットマンはいやなやつだ! 来てる? あそこにいるぞ!」と客席のキートンを指さす♪ キートンもガンを飛ばしながら来い来いと煽る。 シュワちゃん&デビート「Son of a bitch ! パーティーの後待ってるぞ! ブチのめしてやる!」と、この寸劇に会場は笑いっぱなしだった♪
そしてシュワちゃんが 「ガッズィーラ!」と発表♪ 
ちょっと山崎監督のスピーチが興奮でグダグダだったのが残念♪

短編・長編ドキュメンタリー賞=
ケイト・マッキノン、アメリカ・フェラーレ    ケイトは相変わらずボケて笑いを♪
その内容の対象に写されたのは、スピルバーグ監督! 彼はその内容に対してとぼけた演技で応え、また笑いを♪ 客席での演技はスピルバーグ監督が今日一だった♪

撮影賞=
★ゼンデイヤ   シンプルに紹介・発表のみだったが DUNEで見るより、さらに若くて細い,
そして作中より目がパチリ♪

短編実写映画賞=
ラミー・ユセフ、イッサ・レイ

各賞の合間には、★ビリー・アイリッシュ、 ジョン・バティステ、 ベッキー・G 、ライアン・ゴズリングら、4組の生歌パフォーマンスも!
特にピンクのスーツで登場★ゴズリングの「I'm Just Ken」 は今回一番の盛り上がりで、バックダンサーも60人近く登場し、彼の近くは作中で共演したシム・リウやその他俳優もダンサーに加わり、リードギターはスラッシュ本人登場という豪華版! に客席全員スタンディング・オベイション!

音響賞=
ジョン・マレイニー  コメディアンの彼は「無声映画時代が黄金期という人は、 気難しく変わり者です♪」 などやや早口でジョークエピソード 連発。

作曲賞・歌曲賞=
★アリアナ・グランデ、シンシア・エリヴォ   アリアナは30歳のはずだが、かなり痩せて声も高い為、豪華ドレスのティーンエイジャーの様に見えた。
 
追悼シーン
毎年恒例で、昨年亡くなった俳優や裏方(脚本家やカメラマン等の著名スタッフも)の映像と名前をスクリーンに映し追悼するコーナー。 (今年はナワリヌイ氏の映像も)
終盤からボッティチェリの生歌オペラが。 (映像のトリはティナ・ターナー)

監督賞=
★スティーブン・スピルバーグ  マッキノンにイジられて演技で反応した時とは対照的に真面目なスピーチで紹介・発表。
受賞のノーラン監督はスマフォもEメールも使わない人で、出演交渉も本人に直に脚本を渡しに行くそうだ。 ハンサムで柔和な表情だが、まるで昭和の人の様な人物らしい♪ 

作品賞=
★アル・パチーノ  本日一番のサプライズプレゼンターで、奥から姿が見えた時点で全員総立ちのスタンディング・オベイション!  活動歴55年のレジェンドには、やはり皆畏敬の念を持っている♪  この歓迎にパチーノも頭を深く下げ応えていた 。
ただ現在83歳の彼は少し猫背で、作中の威圧感は全くなく、気立てのよさそな Oldman だった♪

そして再び司会キンメルの言葉で終了。
(尚、司会役はオープニングや各プレゼンターを紹介する度にジョークを挟むのが恒例)

私的には司会のジミー・キンメルは会場の盛り上げ方や、ジョークも過去司会者よりワンランク下に感じるし余り好きではない・・・。 さらにはトランプ大統領をあざ笑う様なブラックジョークまで・・。

この4時間越えの受賞式を見るだけでも、wowow加入料の¥2500は値打ちがあり♪ 今年は配信でも現在は見れるので、1ヶ月だけでも是非ご加入を♪ (受賞式の配信は期間限定かもしれません)


▲▲▲ 「落下の解剖学」レビュー
アカデミー脚本賞受賞作 (★平均3.8 近隣シネコン)
簡潔に評価すると、力作だが面白い作品ではない。

いかにもアカデミーが好みそうな作品で、一般の方には冗長かなと。自宅視聴なら、間違いなく再生速度アップ作品♪

まず短く良い点。
過剰演出や不思議描写は全くなく、事件を詳細に追って理屈の合う細かい点で裁判シーン等も描写している。 いい加減さが全くない力作♪

が、
私が映画評価の最重要視する点は、"時間を忘れさせてくれるパート"が、「その作品の何%をしめるか」という点。
ラストで大感動しても、前半ほとんどが睡魔に襲われた様な作品は、★評価が大きく下がる。
今作は作品時間中、見入ったのは約10%位しかない・・。
現場を図解解説しているシーンと、音声証拠シーン等くらい。
他の方もレビューしている、「スティーブン・キングは実際の殺人鬼か・」という台詞は唯一声を出して笑ったが♪

裁判シーンに見入ったと高評価してる方もいる様だが、私はかなり疑問も湧いた。 それは殺人容疑を掛けるには、最重要ポイントを2点も追求してないから。
1 動機
2 金銭損得
これらを争わず、状況証拠や二人の人間関係ばかりを追求し、説明しようとしている。

夫婦喧嘩などあって当たり前。 子供時代に両親にもっと酷い夫婦喧嘩を何度も見せられた。 (まあ晩年にはしなくなったので、あの世ではお互いを気遣ってくれていると思うが♪)
大阪のおばちゃんで特に口の悪い方なら、夫に「あんたなんか死んだらええねん!」ぐらいの売り言葉を怒鳴る場合も多々あるだろう。
が、実際に殺してしまう方はいない・・。

殺人までに至るには、耐えがたいDVを何度も受けたり、家計費を持ち出し自身の遊興費に使われ、借金まみれ等、もっと切実な動機があるはず。 
それに夫婦の金銭関係が一切描かれてない。(お互い作家だが、妻の方が多く作品を執筆しているというぐらい) すなわち、夫を殺した方が妻が経済的に得をするという説明もない。
本当の裁判なら、上記2点も争わなければおかしい。

さらに作品に感情移入出来る重要点、登場人物の魅力がほとんど描かれてない。 主演女優ノミネートになった、ザンドラ・ヒュラーは作品時間の8割ぐらい出ずっぱりで、そのシーン毎の感情はかなり巧く表現してるが、その人物の人となりが、ほとんど分からない・・。
これは彼女の演技でなく、脚本にそういう描写がないのだ。
(これは、「TAR/ター」や「哀れなるものたち」も酷似している。 逆に「ナイアド 〜その決意は海を越える〜」のアネット・ベニング やジョディ・フォスター は痛いぐらいに二人に性格が伝わっている)

と、マイナスに感じる点が多く、可もなく不可もなくの自身平均点の★3.5に。
レオン

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