アカデミー賞前夜に鑑賞!
(今年はWOWOWでしっかり授賞式を追えたので本作の受賞も楽しむことができた。)
長尺の会話劇だけど、時折挟まれる音楽が適度な緊張感を与えてくれて、最後まで集中して観られる作品
大枠だけ捉えるとミステリーのようではあれど、この作品が描くのは「不確かさ」だ。
誰も観測できない事柄を状況証拠から探っていくこと、主人公家族含めて各々の証言から結論を見出そうとすること、典型的な法廷劇のスタイルではあるが、終始真実に対する不安定さが漂う。
シュレーディンガーの猫のように観測するまで事象は確定せず、まして観測することすら過去のことだからできないという中で、どんな選択をすれば良いのか。
サンドラやダニエルはその難しい状況の中で法廷に立つが、そこで語られる内容ですら常に揺らぎをもっている。
人間の記憶や解釈、そのアウトプットの不安定さをひしひしと感じられる台詞回しには驚かされた。