田上雄也

落下の解剖学の田上雄也のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.7
放たれた言葉を文字にしただけではその言葉に込められた想いやニュアンスは伝わらない。伝わらないどころか曲解すら生まれる。どんな顔でどんな動きで放った言葉なのか、それは全身を使って感じ取るもの。ましてや全身を使っても正確に伝わらない事も山ほどある。
坊主にイライラさせられる法廷劇や地獄の夫婦喧嘩も相当に魅力があるけどデジタルでの交流や情報収集とリアルのそれらがほぼ半々になった現代だからこそ、この静かな映画から想起させられる感情はとてつもなく多い。
主人公が小説家であり息子が視力が無い、つまり限定的な表現手法者と限定的だけど人には無い知覚を持つ者がこの藪の中形式のサスペンスフルな事件の当事者である事も必然性を感じる。50セントも驚きの怪作
田上雄也

田上雄也