このレビューはネタバレを含みます
「解剖学」なんてタイトルなので、理詰めのミステリーかと思ったら真逆だった。
前半は現場調査や事実関係の確認でかなり退屈、花粉症薬の効果もあり若干ウトウト。
後半の法廷に入ってからは、前のめりになるくらい惹きつけられた。
原告側も被告側も物的証拠や目撃者が居ないので言い争いの声や自殺未遂があったとか、埋めるのは外堀ばかりで決定打がない。
事故、自殺、他殺の決定的シーンをギリギリ排除した演出がニクい。
そして、鬼気迫るザンドラ・ヒューラーの演技。
共働き子持ち夫婦間だと少なからずある役割分担の揉め事の夫婦喧嘩が不穏過ぎます。
我々観客も陪審員とほぼ同様の材料を与えられ、判断できる仕組みになっているのも面白い。
ラスト、個人的にはダニエルはこれからも、「もしかして母親が?」と思いながら生きていくんだろうなぁと思いました。