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落下の解剖学のQBのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

自分好みの淡々と進む映画。基本は自宅と法廷の映像。
自宅で転落死した夫は自殺か、妻に殺されたのか。証言するのは目の見えない息子。裁判が進むにつれて自殺してもおかしくない理由と、殺されてもおかしくない理由が徐々に明らかになっていく。夫の言い分も分かるし、妻の言い分もわかるから【自分だったら】と考えてしまって感情が忙しかった。
父が調子の悪いペットを病院に連れていく車の中で息子に語った『命あるものは必ず死ぬ。その時はいつくるかわからない。その時がいつきてもいいように覚悟しておきなさい』という言葉が印象的だった。ペットだけではなく親である以上子供より先に旅立つ可能性は高いが、寿命を全うしての死と自死への含みも持たせていて最後まで夫の死の理由を断定させてくれなかった。
ケースワーカーの『どちらかを選ぶのではなく、覚悟を決める』という言葉も考えさせられた。
152分と長めの上映時間でアクション映画のように派手なシーンはないけれど、長く感じなかった。雪がしんしんと降る極寒のバルコニーで白い息を吐きながら弁護士とお酒を飲むシーンは妻の心理描写と重なって印象的だった。冒頭で流れる音楽もすき。
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