オトメチカ

落下の解剖学のオトメチカのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.5
雪深い山荘で起こった男性の不審な転落死、容疑者は妻、目撃者は視覚障害を持つ息子、と並べたら最後に探偵がズバーン! と謎解きしそうなとこ、しないのが現実。裁判の結果という一応の結論は出ても、もやもやを抱えたまま、少し様相の変わった日常に戻るだけ。現実。嗚呼現実。

中盤、法廷で音声データとして流れる夫婦喧嘩の再現V(※想像)な。ああこれ世が世なら男女逆転で普通に描かれていた構図……ていうかなんなら今でもこの論理でド詰めされてる女性は世の中におる……キツイ……そして妻が喚いている「見知らぬ土地に嫁いできたヨメ」的あるあるもよく聞くやつ……キッツイ……と、夫の言い分と妻の言い分、そこに絡んでくるこの世の性役割とかジェンダー観、がぐるぐると上になり下になり、最終的に「どっちの気持ちもわかるしどっちもクソじゃんこれ……」と2人を擁護しながらどちらにも石を投げた。これ、誰かに肩入れすると、そのスポットライトが自分の方をカッ!!!! って照らすのよ。へーあなたそういう人なんですねって。困るー、すっごい困るー(褒め)。んでまあ、この白黒つかない感じ、まんまこの映画の味わい。正解も解答も100%なもんはない。嗚呼現実。

現場検証シーンやお散歩シーンで、ふと犬の視点高さカメラになる時があって、なんの演出だろ? と観ながら少しだけ気になってたんだけど、パンフ買ってゾッとした。とりあえずパルムドッグ納得の熱演。やっぱボーダーコリーは賢さ段違いだね。
あと弁護士役の俳優さんがフェロモンだだ漏れてて、主人公との会話シーンで何度か、ハイそこいやらしい雰囲気出てますよ!!!! と心の主審がイエローカード片手に邪魔しに走り出して大変でした。
オトメチカ

オトメチカ