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落下の解剖学のasobunのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
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タイトルがめっちゃ上手い。このタイトルだけでも観たくなる。更に、雪山、自殺か他殺か?視力を失った息子、犬。設定としてもワクワクする。本編は期待した物とは違ったし、モヤモヤが色々あるが、良かったかな。
夫の死は自殺か妻による殺人か?確たる物的証拠はなく、あるのは状況証拠のみ。そんな中で繰り返され、空疎化する裁判。確実な証言を引き出そうとする検察のこじつけ的な尋問、空転する弁護士、裁判官のそれぞれの応酬。それによって暴かれるプライバシー。状況証拠があらぬ疑惑や下衆話な話題を生み出す。確たる証拠というピースが欠けるだけで裁判という司法制度の脆弱性、機能不全が露わになる。法廷はワイドショーと紙一重、検察も弁護士も裁判官も下衆話芸能リポーターに堕し、ワイドショーになれ果てる皮肉。そこが一番の見所かもしれない。
作品自体は緊張感あるが、もやもやする。状況証拠のみでなぜあの結果なのかも釈然としない。タイトルは上手い。
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