豚肉丸

落下の解剖学の豚肉丸のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.3
夫の不審な転落死の真相を巡って裁判が進んでいくうちに夫婦関係の歪みが明らかになっていくお話

普通に面白い。特に捻りがある訳でもなく淡々と裁判が進行していき、夫婦関係の歪みが明らかになっていく様子を描き出すことに終始するだけに留まっているが、不思議と惹きつけられる力がある会話劇が永遠と続くから面白い。監督の初期作である『ソルフェリーノの闘い』に似たような感触を覚えるが、ソルフェリーノは国の動乱に乗じてミニマムな夫婦関係の歪みを描きだしたのに対して『落下の解剖学』ではミニマムな夫婦関係の歪みがメディアや大衆に巻き取られていくような対比になっているように感じた。
主人公である妻は事の真相を知っているのにその部分のみを伏せて妻が殺害したのかの裁判を進める...と、物語としての進め方の弱さら気になったものの、映画が進むにつれてこの意味のわからない不明瞭な作りに納得。ただ映像は単なる人物の顔を映すだけのショットが殆どで映像的な面白さがあまり無かったのが残念。多分ジュスティーヌ・トリエ監督の作風的に映像にこだわるような監督ではなさそうですが...
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