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落下の解剖学のTPのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

 全体的には犯人は誰かというミステリーの体をとっているが、法廷劇というジャンルに分類するのが一番適切。
 一方で、法廷劇を主題にする映画は数多いが、本作は事件の結末もさることながら、焦点は一般的な夫婦間のいざこざという特徴を持つ。
 その分、描かれる内容が法廷劇と人間ドラマを往ったり来たりすることが多く、また、それぞれをみっちり描いているので152分という時間は少々長く感じてしまう。

 しかし、法廷劇と人間ドラマの映画的魅力の密度は高い。主演のザンドラ・ヒュラー熱演もあって、人里離れた一軒家における夫婦の実態と子供も含めた精神の葛藤の中に人間という生き物の複雑さも描き切って見応えがある。

 「羅生門」のように真実は藪の中で、誰が本当のことを言っているのかも最後になってもわからない。
 真相はグレーのまま、11歳の息子の純粋な証言により法の裁きではサンドラは無罪となる。しかし、その証言は息子の記憶によるもので物的証拠は何もないので、無罪へのベクトルの変換はいまいち腑に落ちない。
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