導入、前半部分が超微速で入ってきますので、観る人にかなりの集中力を要求しますが、途中から一気です
中盤から津波のようにドラマが押し寄せ気持ちを持っていかれます
サスペンス効きまくりのミステリーですとあえて言います。
ただしオープンエンディングです。
オープンエンディングの物語をミステリーとよんでよいのかどうかは悩ましいですが、
『落ちたのか？落とされたのか？』
この一点で私はこの物語に引き摺り込まれ、エンドロールが上がり切ってもその疑問は私の中で膨らんで、放してはくれませんでした
この物語は謎かけそのものです、と同時に秀逸な悲劇です
人間の命には限りがあるから誰もが自分の欲望を捨てては生きてゆけない
たとえ愛する家族の為でも欲望を完全に抑え込んでは生きてゆけない
この物語は私たちに訴えかけてきます
人間の利己心と裏切りへの懺悔と更なる保身を描きだした物語です 一級の悲劇作品だと思いました
私はなんの前知識も持たず観ましたので、事前情報を入れないほうが十分に味わえると思います。
なので内容に関してはこれ以上は触れませんが、既婚者、子供がいる人、誰かと生計を共にする人にはこの物語の悲劇性がより強く刺さると思います
幸せな気持ちにはなれないエンディングですが完成度の高い作品に出会えた満足感と深い余韻を残してくれます
エンドロールのショパンの前奏曲4番がこれから更なる苦難に向かうであろう母と息子への葬送曲のように聴こえました
