このレビューはネタバレを含みます
いわゆるミステリーの鮮やかな伏線回収劇を期待して観に行ったら全く別物だった。
父の死というショッキングな事実に加え、徐々に明らかになる事件背景、両親の真実が少年ダニエルに振り重なる。育児や仕事にまつわる両親の苦悩の中心に自分がいることの罪悪感の一方で、それらのピースから事件の真相が明らかになる訳でもなく不信感と蟠りがつのるその少年の心労に胸を痛めつつ、また複雑な家族と対比的に無邪気な賢いワンコロの名演技が効いて一層同情を煽られる
“ミステリー映画“とは異なり”現実“的には真相は証拠から簡単に一本化されるものではないということを突き付けられる パーツから全体の構成を探るまさに”解剖学“的な推理過程の複雑さを共に追うストーリー
ただ解剖した結果浮かび上がる”真相と思われるモノ“がさして面白くないというか 陳腐な夫婦の不和に思えてならなかった
