なまけもの

落下の解剖学のなまけもののレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9
男が自宅で不審死し、妻が第一容疑者となる。証言は変わるし、不利な証拠は出てくるしで、客観的に見るとすごく怪しい。
二人の子供であるダニエルも、新たに浮かび上がる事実や自分の記憶、そして母の言葉に翻弄されていく。
裁判のシーンは圧巻で、引き込まれた!
被疑者側と検察側の息もつかせぬ舌戦や、重要な証拠となる録音を聴くシーンが凄くて、何が真実か分からなくなっていく…

最初はミステリーかと思ってたけど、こちらの気持ちをザワザワさせるタイプの心理サスペンスだった。
怪しいのに、どうにも嘘をついてるようには思えなくなってくる。不利な証拠を見聞きしても、彼女の視点から見たら違う物語があるのかもと思う。

現実の社会でもこういうことって起こるよなあ。色々な情報が行き交って、何が本当なのかわからなくなってくる。そんな中で何を信じるかは自分で選ばなければならない。
そういう時代も反映した話のように感じた。

翻弄される不快さと面白さが合わさって絶妙な快感のある映画。