映画村長

落下の解剖学の映画村長のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.7
ミステリーであり法廷劇であり倦怠夫婦ものであり少年の成長物語であり…。アカデミー脚本賞も納得の重層的なクオリティ。

圧巻の口論シーンは、男女逆転した現象が全世界で行われているのだろう。我々男性にその姿を照射するという点で、フェミニズム映画としても価値ある一本だ。

夫婦間のミニマムな事象から、フェイクニュースや陰謀論までも彷彿とさせるあたり、「一つの事件を解剖してみたら社会の色んなモノが見える」という、まさに「解剖学」というタイトルがピッタリ。『関心領域』しかり、原題の直訳するのもいいですなぁ…。

本作が提示する「選ばなければいけない」場面の心持ちというのは、マジで自分が生きていく上の大事な矜持にしている部分と重なっていてズシンときた。しかし11歳に語るには酷だろう…笑

結婚した直後に『ゴーン・ガール』を観て叩きのめされて、結婚10年目で『落下の解剖学』でぶっ飛ばされた。
どちらも自分の人生の起点に重なる映画で、一生物な気がする。
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