映画好き

落下の解剖学の映画好きのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

なかなか好きな映画だった。
三分の一〜半分くらいは法廷劇だったけど、それが見事!
検察官と弁護人の長いやり取りがすごいなと思いながら見ていた。長台詞の応酬。引き込まれる演技。知らない俳優さんだったので、つい調べてしまった。
特に無罪を争う裁判は、検察と弁護人側の攻防が激しいけど、この物語の主人公も夫への殺人容疑で起訴され、裁判にかけられたが、妻は無罪を主張。検察は決定的な物証がなく、弱い証拠の積み重ねや、証言や行動の矛盾を突くことでどうにか判事の心証を黒に傾けようとする。
弁護人も弱い証拠を跳ね除ける答弁で、どうにか無罪を信じてもらいたいと奮闘する。
殺人容疑の被告人の保釈は、やはりフランスでも異例中の異例なんだなと。また、法衣も裁判官だけでなく、検察官と弁護人も着用することをはじめて知り、そんなフランスの刑事裁判も興味深かった。

無罪判決が出て、(控訴しなければ?フランスの刑事裁判の段階が分からないけど)晴れて自由の身となるけど、判決理由を聞いてみたかったな。
夫が転落死したのが事故なのか自殺なのか、はたまた殺人だったのかは、映画では明らかにされることなく、エンディングとなったが、映画の最大の謎がはっきりと解明されないままのエンディングも良かった。
私は裁判で正義が成されたと思いたい人なので、夫は事故で転落してしまったのではないかなと思う。