MINAMI

枯れ葉のMINAMIのネタバレレビュー・内容・結末

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

アキ•カウリスマキ監督

ありがとう、ひとまずありがとうを送ります。

あまりに寒い冬の始まりに、純度100%のラブロマンスを観た。

相変わらず、冴えないヤツらのツイてない話。
ドラマは日常の小さな瞬間に潜むことをいつも教えてくれる。ドラマは誰の元にも存在することを、そしてそれは愛おしいことを。
相変わらず吸いすぎる煙草と飲みすぎるお酒、歌でも歌ってつまらない1週間を洗い流したら、名前も知らない誰かがその歌を聴いていたりするかもしれない。

ジム・ジャームッシュやゴダールをはじめ、映画への敬愛が溢れていたのも最高。(dead don’t die観てたのオモロすぎ。)


映画が終わり、トイレに入った。
ロンドンにしてはかなり綺麗なトイレだ。
僕が、4つドアがあるうちの奥から2番目に入って静かに座っていると、ガタンと音を立てて2人組の女の子たちが入ってきた。(このトイレはもちろん男女共用で、僕が女子トイレに間違って入ってしまった話ではない。)その子たちは、手前から2つのトイレにそれぞれ入った。何しろ隣り合わせのよくあるタイプのトイレだから、誰がどこに入ったかくらいは簡単にわかってしまうのだ。そしてその子たちときたら、用を足しながら、何語かもわからない言葉でトイレの壁越しに大声で話し始めた。きっと観終わった映画のアレがオモロかったとかアレはあり得ないとかそんなことを言い合っていたのだろう。用を足す音を笑い声でかき消したあと、2人は去っていった。

外はいつの間にか真っ暗で、凍えそうになりながら、近くのコーヒーショップでアメリカーノに£3を払った。風邪気味の身体の僕の心臓はだいぶ暖かくなった。
MINAMI

MINAMI