戦争や虐殺が続いていることを気にしないようにしながらただ座って映画を観るのは、半分で感動しながら半分で心が死んでいるような。
心が綺麗に二分されているから単純なような、耐え難さを噛み潰すようにしていて複雑なような。
映画を撮る側だって同じように思いながら、同じ日々を生きているだろう。
映画の中の登場人物だって同じ日々を生きている。
単純化されたストーリー、単純化された人間関係、単純化された動作、立ち姿。
剥ぎ取られた複雑さの下にかえって複雑さが溢れてくる。
映画を観る、というのは、電車にただ座っている彼女の瞳からなにを感じ取れるかということだと思う。