サマータイムブルース

枯れ葉のサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.9
アキ・カウリスマキ監督が引退を撤回して新たにメガホンを取った6年ぶりの新作
中年カップルの淡いラブストーリーとなっております
とても静かな作品

スーパーで働くアンサ(アルマ・ポウスティ)は、孤独と貧困に耐えながら暮らす中年女性
一方、工事現場で働くホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)は、捨てられた鉄クズの回収や再処理に従事しています
2人はたまたま訪れたカラオケ店で出会います

2人は喜怒哀楽を表に出さない、ほぼ無表情で、それでいて互いが惹かれ合っているのが伝わってくる素晴らしい演技でした
アンサがホラッパの頬にキスをするシーンが印象的
ウィンクも可愛かった
2人が初デートに選んだ映画はまさかのゾンビ映画、ジム・ジャームッシュ監督の「デッド・ドント・ダイ」

その後、ホラッパが、再会を約束してアンサの電話番号を書いたメモを無くして逢えなくなったり、仕事を解雇されたり、ホラッパのアルコール依存症がバレたり、2人の恋はなかなか順調に行きません

これ、メモを無くしたのがヘルシンキの小さな街で良かった、もし、東京や大阪みたいな大都会だとまず再会は不可能だったと思います
てか、その前に、今のスマホ、携帯時代にすれ違いドラマ作る難しさを感じました

アンサの家のラジオからロシアのウクライナ侵攻のニュースが常に流れていて、暗い影を落としています
暗いながらも時々クスッとなるユーモアがあるのもカウリスマキ監督流!?

劇中流れる音楽も魅了されました
特に「竹田の子守唄」が流れてきた時にはおお〜!!となりました🎵
劇的なシーンはないけれど、ジワジワと心に沁みる素敵な作品でした