なんたる体感の短さ!どこまでもアナログで、画面に余計なものが無く、シンプルイズベストな良い映画を観たという余韻においては今年ベスト。
“変わらずに変わり続ける”、いつものカウリスマキでありながら、同時に最新型のカウリスマキでもある(※たしかにカティ・オウティネンやマッティ・ペロンパーはスマキ映画の顔的存在ではあるが、本作は新たなスマキの代表作の1つと言い切れる)。
劇中の映画館でかかる某映画や、いつも以上に犬🐕🦺フィーチャーな部分は同世代の同志ジム・ジャームッシュの近作を意識しているよう(※ホラッパ役の俳優さんのノッポ感がどこか『パターソン』のアダム・ドライバー風に見えたり)。
映画館に貼られているポスターに、大巨匠デヴィッド・リーン監督の古典的名作『逢びき』もあったが、本作はカウリスマキ流の『逢びき』ともとれなくもない。抜け感であったり、諸々遊び心はありながらも、やはり基礎部分の“語り”は極めてオーソドックスで直球勝負!なところがカウリスマキの好き部分だったりする(誰もがコミットし易い)。
緻密な固定ショットも健在で、いつになく彼が敬愛するライナー・ヴェルナー・ファスビンダー映画を思わせる瞬間が。またスマキ先生大ファンのポップデュオ・マウステトゥトットの歌唱シーンも素晴らしい!(※ちょっと今回の演奏シーンは『ツイン・ピークスthe return』みがあったような🤣)