ハル

枯れ葉のハルのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.6
あけましておめでとうございます🙇
今年もよろしくお願いします。
昨年末、レビューできていない作品がいくつかあったので…まずはそちらを。

独特の空気感はたぶんアキ・カウリスマキ監督の味なのだろう。
監督の作品を初鑑賞だからというのもあるが、少し戸惑うほど、うねりがなく淡々と粛々と進んでいく出会いのお話。
いわゆる“エンタメ感”は排除されている。
昨今のトレンドとは逆説的だからこそ“本物”の雰囲気が漂うね。
スッと心に入り込んでいくような自然で不思議な清らかさを有する映画だった。

印象的だったのは会話のトーンが一定なこと。
時折怒るキャラクターも出てくるけれど、やはりここも抑揚が少なく、あくまで現実世界のよう。
誇張されていないない普遍的な空気感を良しとするか、つまらないとするかは人によるかな。

一人の女性と男性が出会い、別れ、再び出会う。
仕事や出会いのシーンについては深堀りされるが、やりすぎず。
そんな中、ラジオから流れるニュースはタイムリーなウクライナの戦争。
ただ、作品自体の時代設定はだいぶ前。
現代の出来事をアクセントとして混ぜているのは監督からの『意思表示』なのかもしれないね。

今作、ヘルシンキを舞台としているのにスクリーンを見ていて感じたのは“昭和歌謡”なムード。
情緒を感じさせる音楽に、駆け引きのないド直球のやり取り。
湧き出る感情は懐かしさや親しみやすさだった。
ナチュラルすぎるため、ボクには少し退屈に感じる部分もあったけれど…ガチャガチャ盛り込み過ぎな作品が多い昨今、時にはこうした落ち着いた映画が心と体に浸透していくのかもしれない。
マイナスイオンを感じさせ、映画好きがハマりそうな普遍的な人情劇でした。
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