Shussissi

枯れ葉のShussissiのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.4
@角川シネマ有楽町
およそ1ヶ月前に人生初の🇫🇮映画を観ました。それに続いて前から気にはなっていた“カウリスマキ監督”映画を初鑑賞しました。結論から言うとものすごく良かったです。私みたいな素人映画ファンも楽しめるし、コアな映画好きな人もある程度唸ってしまう作品なのでは無いでしょうか?
無駄を全て省いて、最小限の言葉と表情だけで描く世界観。近年3時間近い映画がバンバン上映されている中(まぁそれはそれで単純な私は得したような気になってるのですが😅)、わずか81分ながら心にものすごく残る作品でした。「冴えないアル中のクズ男と色気の無い女(失礼💦)のラブストーリー」と言う一見全く面白く無さそうな物語が、なぜか面白くなってしまう。不思議ですな。しかも全然文化も勝手もわからないフィンランドという国を舞台に描かれています。つまりフィンランド人が観たら、使われてる音楽や場所なども含めてさらに面白く感じているのか?とちょっと羨んでしまいました。背景は日本風で言えば「昭和感あふれるような時代」に見えましたが、ウクライナとロシアの戦争をラジオで流して現代の作品であるという事をさりげなくアピールしています。そして何回か有るラジオのシーンだけで、監督が切に反戦を訴えかけてるのが、私のような鈍感な者にもヒシヒシ伝わってきます。フィンランドはロシアと近いので、危機感は我々の数万倍なのでしょう。監督は映画を通じて、訴えかけたい事を上手くオブラートに包んでしっかり伝えてきています。また、小津安二郎さんをリスペクトしてる影響か、女子2人が「男はダメね」と話してる時のマドラーに🍣が刺さってるのは笑いました。
1番好きなシーンは、セリフ棒読みでほぼずっと無表情な主人公。その彼女が見せたウィンクのところです。あのウィンクに全て持っていかれました。また結末をチャップリンが持っていくと言う素晴らしさ。本当にお洒落でセンスしか感じない映画でした。
2024年劇場鑑賞1本目の映画がこれで良かったような気がします🎬
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