JTKの映画メモ

枯れ葉のJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
5.0
いつもの、いつも以上のカウリスマキ節がとても嬉しい。

ラジオから流れるロシアのウクライナ攻撃を伝えるニュースのシーンで気付いたが、カウリスマキ作品に共通するぶっきらぼうながらホッコリする"友愛"的な眼差しは、言外に反戦的であるんだな。無言の平和主義。
引退撤回してまでも今作を創りたくなった理由もそこにあるのではと想像する。
そして、カウリスマキ映画に繰り返し現れる友愛の象徴ともいうべき犬が今回も"もそっ"と出てくる。
これは犬がテーマの映画ではないので犬が出てくるシーンは少ないが、人間と犬の関係性がこれほどまで見事に映画になってるのも、わしがカウリスマキを大好きな理由のひとつ。
男「この犬、名前何なんだい?」
女「チャップリンよ」
犬「ワン!」
最高このうえない。

あと、映画のポスターがやたら出てきた。
ヴィスコンティ「若者のすべて」
メルヴィル「仁義」
ゴダール「気狂いピエロ」
ブレッソン「ラルジャン」
あとは忘れた。
2人が観る映画はジャームッシュの「デッド・ドント・ダイ」
ジャームッシュのくだらなくて巫山戯たこの作品はわしも大好きなんで嬉しい。
映画愛に溢れとる。

小津安二郎の正統な後継者はカウリスマキだ。と敢えて言ってしまうが、小津がユートピアとしての箱庭的な"家族"にこだわり続けたのも戦争体験が根底にあったに違いない。
戦争反対。