偶然知り合った男女が再び会おうとするも、なかなか上手くいかなくて...というお話
初アキ・カウリスマキ。
滅茶苦茶質素で簡素な作りの恋愛映画だが、他人への不寛容さと戦争という現代社会の問題に切り込んだ上でアンサーとして愛に纏めあげる構成が面白い。ラジオから流れるウクライナ侵略と雇用問題。現代的な要素も挟みつつ、クラシック映画のような雰囲気で淡々と進んでいく。スマホやテレビなどの現代的なアイテムは映画内から排除されており、ニュースを伝えるのはラジオや雑誌、一昔前のバーで語り合い、紙に書くことで電話番号を伝える。しかし映画館で上映される作品は『デット・ドント・ダイ』...と言うように、現代とクラシックが混ざりあった独特な空間が形成されている。
時間の流れを伝えるショット。男が映画館の前に立って女を待っている場面が表すように王道的な時間経過のすれ違いを真正面から描いているのが良いし、かと思えば途端に外しを効かせてくるのも良い。王道的で落ち着いた雰囲気の中に紛れる意外性が効いている。
映画の雰囲気も合わさってまさに古典的な手堅い名作映画を観たような感覚。初めてのアキ・カウリスマキに最新作は少し不安だったものの、普通に面白かった！
