良い映画だった……思い返せば思い返すほど愛おしくなる作品。
自分の中で、少し前に見たPERFECT DAYSと対照的な作品だった。
ヘルシンキという日本から遠く離れた街の話にあって、それでも彼らの暮らしはとても身近な出来事のように見えた。人々の不満、苦しみ、小さな喜びの全てが手に取れるようにリアリティを持っていた。
対してPERFECT DAYSは東京の、同じく裕福でないブルーカラーの話でも、人も街もあまりに理想化されすぎていたためにある種ファンタジー作品のようだった。
ストーリーはもうめちゃくちゃシンプルで、ここまでお約束やっちゃっていいの?という感じだったがある意味安心して観ることができた。
あと海外の景色なんてどう撮ってもオシャレに見えそうなところ、緑も少ないし天気も悪いし、全然住みたくならない感じに見えたのも面白かった。
2人の関係性にあたたかな希望を見出すのはもちろんのことだが、犬の存在があの薄暗い世界をより明るく照らしていたと思う。あの少ない登場シーンの中で、犬という生き物の良さ、犬を飼うということの良さの全てが表現されていたように感じる。