とりん

枯れ葉のとりんのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.2
2024年14本目(映画館2本目)

フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督の5年ぶりの新作。当監督の作品を鑑賞するのは初めて。
作品の空気感、俳優陣の演技などいろんな面で素晴らしかった。舞台はウクライナ戦争もラジオであってるので現代だけど、クラシカルな雰囲気と現代の感じが混ざり合ってる感じがすごく好みだった。
労働者階級の人たちの日常を切り取ってそこに恋愛模様が少し重なっている感じで、決してここが見どころや大きな展開とかとかもないのだけれど、この何気ない空気感がかなり良い。
淡々と進んでいるかのように見えて、絶妙にシュールな感じも堪らなかった。思わず笑みがこぼれてしまうシーンも多くて、観ていても温かな気持ちになった。でもそんな笑みこぼした直後に事故起きるなんて。
こんな和やかな温かな空気の中で、ウクライナ戦争の凄惨な状況がラジオから流れるのもなかなか辛辣で重要な点。実にシンプルにラブストーリーを描いている感じだけど、労働者階級や戦争に向けたメッセージ性も込められていそうだ。

主演の方はどこかで観たことあると思っていたけど、「トーべ」のアルマ・ポウスティだった。彼女の演技もすごく良かったし、相手役のユッシ・バネタンや他の方も良い味出てた。犬も可愛かった。
音楽もめちゃくちゃ良かった。特にバーで演奏してたMaustetytötの曲。
劇中で観に行く映画も「デッド・ドント・ダイ」というこれまたシュールさもまた良き。
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