犬好き男子の映画レビュー

関心領域の犬好き男子の映画レビューのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

アカデミー賞授賞式を前にした先行上映会で観ることができました。

カンヌ国際映画祭でかなり話題を攫ったと噂を聞いてた本作。

「異様な作品」であることは予想の通りでした。

煙突から出る煙が1番印象的で、これほど煙を観て怖いと思ったことはありません。
ユダヤ人が迫害され、殺されていく様が間接的に感じられる2時間で、加害者と被害者は同じ人間のはずなのに、余りにも掛け離れている。
収容所の司令官だけではなく、その家族でさえ、周りで人が死んでいく日常に慣れてしまって全く反応しなくなっている。
妻の母親が、妻の自宅を訪ねてきましたが、1日立たずで出ていく様子も、収容所の近傍に住むことの異様さを上手く表現していると感じました。
最後に現代に戻り、おそらくアウシュヴィッツ収容所の歴史施設と思われるところが出てきます。
その場所はあくまで現代であり、ユダヤ人の悲鳴が聞こえる場所ではないものの、普段そこにいない私からしたら、当時の人の声なき叫びが聞こえるような痕跡が残った環境でした。そこで清掃する人々も、その環境に慣れているからこそ正気でいられるのかと思いました(今そこで働いている人を異常だというつもりは全くなく、一労働をする方として敬意を表しています。)

慣れというのは本当に怖いものだと思いました。

一回観ただけでは何を示唆しているのか分からないところが多々ありました。記事などを観て勉強してからもう一度観れればと思います。

明日はいよいよアカデミー賞授賞式。本当は仕事を休んで授賞式を観覧したかったですが、繁忙期のため2年連続後追い視聴。
今年は授賞式前に6作品を観ることができました。