KingKazukiManji

関心領域のKingKazukiManjiのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
2.0
めちゃくちゃ淡々としていて、ルドルフ・ヘスの家族を中心とする関心領域における日常の退屈さに物語としての面白さは皆無であり、面白くはなかった。

しかしながら、演出が独特であるが達者で、とても興味深く、多くを語らない映像群がより一層、作品の世界観に我々観客を引き込んでくれた。それが表裏一体で観客に不快感を煽ってくるので、人によってはかなり肌に合わない作品に仕上がってもいた。個人的にこのテイストは下手なホラー映画よりも恐ろしく、観ていてかなり怖かった。

とにかく物語的な面白さはないのだが、テーマ的な面白さと深さはすざまじく、アウシュヴィッツだけに関わらず、かなり色々なことに照らし合わせることができる作りが凄かった。

タイトルの通り、人間の関心領域の狭さはかなり残酷であり、観ていて苦しかった。ただ、登場人物たちの醜さが、ある所で鏡のように自分たち観客に跳ね返ってくる作りが面白かった。

この関心領域は当日のドイツだけに関わらず、資本主義社会の現代にも大きく当てはまるものであり、いま1度自らの関心領域の狭さを思い知らされ、観ていて少しばかりこそばゆくなった。そして、所長の関心領域と、奥さんの関心領域の違いというのがまた面白かった。

確かにザンドラ・ヒュラーの怪演は素晴らしく、あんなにも嫌悪させてくれる役を演じるというのは、中々できないものだ。

色々と後から考えて面白くなる作品ではあったものの、退屈さは否めなかった。

音響は確かに良かったが、賞を取るほどのものとは思えなかった。
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