不穏さが淡々と何処までも蝕んで行く怖さが尋常じゃなかったし、徹底的に感情移入させない事で省略して描いて行く物語のヤバさが凄まじい、素晴らしい作品だった。
一見幸せそうな光景がそこにあるのに、じわじわと身も心も蝕んで行く淡々さがヤバかったし、省略芸術としての映画の素晴らしさで言えばこれ程完璧な映画はないなと思った。
ちょっと引いて隅々まで全てを観察するかのような視点の描き具合が素晴らしかったし、ちょっと引いて全てを見渡すからこその面白さが溢れている映画だったように思う。
淡々と観察して行くかのように描いていた所から、じわじわと動き出す、踏み込んで来る物語が抜群に面白かったし、釘付けにならずにはいられないスリリングな面白さが溢れていた。
感情移入を徹底的に排除して、カタルシスすら与えない徹底的な物語の描き具合がとにかく素晴らしかったし、だからこそ終わりが来た時にその先にあるであろう物語をもっと観ていたいと思った。
静かに淡々と不穏さと狂気が物語を何処までも果てしなく蝕んで行く事で、観る者の心を侵食していく素晴らしい作品でした。
映画としての省略芸術、映画ならではの音響芸術をたっぷりと楽しめたのが特に最高でした。
