つるみん

関心領域のつるみんのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.7
挑戦的であり、ホロコースト映画にして珍しく加害者側にしか焦点が当てられない物静かでありながら非常に残酷的である一作。

オスカー音響賞を獲っただけあり、音が効果的。OPとEDで放たれる不穏なサウンドは勿論のこと、映像では見せない「外」の音響で現実的な残酷さを表現させる秀逸さ。映像では「天国」を描き、音響では「地獄」を演出。このバランスの良さが映画的効果を最大限に生み出している。

映画的効果というとラストシーンが印象的。場面は現在に突然切り替わり、ホロコーストの施設を映す。これらがフィクションではない事への主張。それに加え、再び戻る1945年のシーン、主人公ドルフ・ヘスの行き場を失う喪失感のような映像が、彼自身の過ちを助長させるフラッシュバックならぬ、フラッシュフォワードとしての効果があったのは納得。

映画的な技術力はハイレベルなものであるのに違いないが、セリフ中心、定点・固定カメラが主なショットとなり動きがない為、好き嫌いはハッキリ分かれそうな作品だった。
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