ジェフリーハラダ

関心領域のジェフリーハラダのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.0
カンヌ映画祭でグランプリと聞くと、一応気になって観る方だが、この作品はかなり尖っていた。

1940年代のポーランドを舞台に、占領したドイツ軍人とその家庭のかなり裕福な生活が淡々と描かれる。当然ながら、そこには子育て、転勤、収入などの日常的な課題がある…。

映画を観ていて、徐々にわかってくるのが、彼らがただの軍人ではなく、強制収容所に関する仕事をしていること。しかし、収容所の悲惨な光景は画面にほぼ映されず、淡々と日常だけが描かれる。

ホロコーストに携わりながらも、人間は食事もできるし、妻子を愛せるし、家計や出世の心配もする。この映画がメタファーとなって、人間という矛盾した存在について、いろいろと考えさせられる。