一人旅

メリーゴーランドの一人旅のレビュー・感想・評価

メリーゴーランド(1974年製作の映画)
5.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ライモンド・デル・バルツォ監督作。

不治の病に冒された少年と父親の愛情を描いたドラマ。

70年代イタリア産“難病物”の名作。母親を亡くした上に多忙な弁護士の父親に相手にされない少年:ルカ。彼は父親と一緒に過ごしたいのに、前々から楽しみにしていた海辺のバカンスには父親の恋人まで同行してしまう始末。それでもルカは子供なりの気遣いで彼女と仲良くしようと努める。そんな中、ルカが不治の白血病に冒されていることが判明。父親は仕事で多忙だった自分自身を責め、残り僅かな時間をルカの傍で過ごす…という、父子の愛情をテーマにした感動の家族ドラマであります。

『ジョーイ』(1977)『ロングウェイ・ホーム』(1981)『ファミリー』(1983)など家族ドラマの名作でありながら未だDVD化が実現していない作品はいくつか挙げられますが、本作は病によって引き裂かれていく親子の愛情を切なく描き上げたイタリア映画の名作です。主題を明白にした無駄のないコンパクトな作劇とメロディアスな音楽を背景にした感動的な描写が観客の涙をこれでもかと誘ってくれます。夜の遊園地を舞台にした父と息子、二人だけのクライマックスは感動がひとしおで、明らかに衰弱している息子と彼にピタリと寄り添って離れない父親の構図が泣かせます。

少年:ルカ役は70年代イタリア子役界のトップスターだったレナート・チェスティエ。繊細な心の機微を的確に表現した表情の演技が絶品です。
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