義民伝兵衛と蝉時雨

コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版の義民伝兵衛と蝉時雨のレビュー・感想・評価

4.3
戦時下で見つめる人間の普遍的な営み。鳴り止まぬ人間同士の争い(これも人間の普遍的な性質)に囲まれた内戦下のタジキスタンの首都ドゥシャンベ、その中の解放区の如き(恐妻からも一時逃れることの出来る)宙に浮いたロープウェイを中心に、取り分け恋人達の営みの普遍性がクローズアップされ、ユーモアたっぷりに描かれている。その恋愛模様はロマンティックでありながらも、その根底にはリアリズムが漲っており、人間臭ささが終始美しい。
ロープウェイを主役に本作も撮影が圧巻。ドゥシャンベの街並みや自然、タジキスタンの民族タジク人達の風俗も垣間見ることが出来、これまた旅行気分を堪能することも出来る。流石にこのロープウェイは、諸行無常のこの世、今のドゥシャンベにはないだろうか。そして本作も音楽が素晴らしく、役者達は美しい。フドイナザーロフ監督は人間を撮るのが上手い。人間好きということが伝わってくる。