このレビューはネタバレを含みます
内戦中の街。膠着した状況のなかで、ロープウェイも同じところをずっとぐるぐる、ぐるぐると移動し続ける。
この物語は、反復の物語。だけど、その反復から逃れようとする物語でもある。
博打をやめることができず、すべての財産を失い、最後には死んでいく父。
女を取っ替え引っ替えし続けていたけれど、ミラに恋して変わるダレル。
ロープウェイが下っていくとき、その人を取り巻く状況もまた、下り坂な気がした、同じ場所を移動しているのに、状況や物語は変わっていく。
最後は、父やダレルとの関係性や状況に絶望したミラが、ロープウェイで下って街を出ていこうとする。だけど、やっと追いついたダレルは、同じ広場を何周もぐるぐると回って、そのまま街を出て行っても、自転車で追いかけ続ける。
内戦中で、同じところを移動し続ける、同じような生活を続けているそんな「反復の街」を出ていく。
これはきっとふたりの、新たな出発。だって、この日は、内戦が始まって以来、はじめて戦闘が行われなかった日だったから。わるい反復が終わりを迎える、そんな記念すべき日になる、予感がする。ミラとダレルにとって、そして、街の人たちにとっても。
メモ
・父とミラのダンスシーン
・ロープウェイの中の、ダレルとミラのピクニックシーン、抱き合うシーン、何回でも見たい。
・ダレルみたいな、ちょっとクズなのに、まっすぐで、おだやかな優しさを持っているあんな男の子、わたしはとても好き