千里

雨降って、ジ・エンド。の千里のネタバレレビュー・内容・結末

雨降って、ジ・エンド。(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

トレイラーの雰囲気にはあまり惹かれなかったが、古川琴音さんが出演していることと世間の高評が気になって鑑賞。傑作。めちゃくちゃ大好きな映画だった!!

好きなことで上手くいかない、評価されない、続けるのが辛い、でも好きだから続けている。これを物語として見せて自己のアイデンティティの大切さに気づくまでを丁寧に描いた上で、じゃあ自分以外の誰かのアイデンティティを認めることは出来るのか?理解は出来るのか?という難しいところに踏み込んでいく。

自分ではない親しい相手のアイデンティティとして、"性的嗜好障害"という分かりやすく理解され難いテーマで描いているのが見事。世間一般的には気持ち悪いといった認識であっても、本人からしたら成りたくてそうなったわけではない(勿論法を犯すような行為はダメだし、偏見の目で見られることも致し方ないとしても)。

これって別に性的嗜好障害じゃなかったとしても、人と違うことや少数派であることに置き換えて考えてみることも出来ると思う。置き換えてみると人には理解されにくい特異なアイデンティティを持った人の気持ちも、相手のアイデンティティを受け取る側の気持ちも理解できるものだと思う。運に恵まれてる人以外は多くの人がこんな経験あると思うので、共感もしやすいのではないかなと。

他者のアイデンティティをどう受け取るのかは受け取った側の自由だけど、その相手が親しい人だった場合、アイデンティティによっては受け入れられない場合もあるだろうし、その難しさもしっかりと描かれていて好感が持てる。

こういう芯の部分はしっかり描きつつ、それをエンタメに落とし込んでいるところが高橋監督本当凄い。あと古川琴音さんに関しては、今年「みなに幸あれ」を観てベストアクトだと思ったけど、本作はそれを更に塗り替えるくらいハマっていたし、個人的に今まで観た中で一番可愛い古川琴音さんが見れたなという感じ。正にベストアクト。

同日というか鑑賞直前に同監督の「彼女はなぜ、猿を逃したか?」を鑑賞していたので、どちらにも出演している廣末哲万さんと新恵みどりさんのギャップにも驚かされた。


2024.03.01

2回目鑑賞。
群青いろのお二方の舞台挨拶付き。
スコア : 4.5→4.5

テーマや完成度も勿論素晴らしいけど、何より日和と雨森が2人で居る時の空気感が堪らなく好き。
千里

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