ぴんゆか

クラブゼロのぴんゆかのレビュー・感想・評価

クラブゼロ(2023年製作の映画)
2.7
だいぶ尖ってて挑戦的。
批判と皮肉と警告に満ち満ちてる。
激しすぎる中受にのめり込む保護者にも是非見てほしいと思う。

経済的な余裕を持て余し、子供を"優秀"にするためにその全てを賭けながらも中身を直視しようとせず、肝心の"投資商品"を理解しない親、

己の美の基準を保ちたいがために子供の前で自分の食べ物を犬に回すばかりか、子供が自分の基準を超えようとすると競い合うように絶食する親、

"難しい子供"とレッテルを貼って子供を全寮制に送り込み、人任せな親、、
と主に現代に存在するであろう親達へ厳しい眼差しが向けられている。

しかしこの作品はただの親の批判にとどまらず経験が少なく脆い若者もよく描いている。
集団心理もあいまっていとも簡単に過激な手段に落ちてゆく彼らのさまは、ニュースで見たようなカルト教や急進的すぎる団体にのめり込む現実の若者達だ。

典型的なリッチ親達からは状況が異なるベンの親に関しては正直心が痛かったし、泣いていたのも彼女だけだった。
けれど受験戦争やエリート信仰主義の中で子供をただの兵士に作り上げていたり、また一人で育てるが故に無意識に子供に期待を負わせすぎてしまっている状況もまた事実だろう。
他の親と違って一般市民(といっても家はなかなか綺麗だが)であるゆえのプライドだったり、歯痒さを子供に引き継がせてるところもあると思う。
でも唯一子供をおかしい環境から脱出させようとしていた人間が金持ちでもエリートでも無いという構造は興味深かった。
ある種失うものがない者は怖くないというのもあるかもしれないし、色んな環境に合わせて生きてきた者の強さともいうべきだろうか。

こんなん即精神科案件なのに、こんだけ大人がいてもその発想に辿り着かないのも滑稽というか無情というか。

ちなみに主演のミアが欧米系のイっちゃってる人特有の顔してるのも妙に信憑性あってよかった笑
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